[山下菊二コラージュ展]

 冬晴れの一日、鎌倉へ足を延ばし、神奈川県立近代美術館鎌倉別館で開かれている「山下菊二コラージュ展」を覘いてきた。覘くというより実はじっくりと味わってきたのである。出品されている作品の殆どが、「戦争と狭山差別裁判」というシリーズのもので、1976年に制作されたという。

狭山裁判というのは、1963年5月に埼玉県狭山市で起きた女子高校生殺人事件、いわゆる狭山事件の裁判のことで、犯人とされた石川一雄さんは一審で死刑の判決を受け、さらに上訴審で無期懲役となり、その当時は最高裁に上告している頃だった。上告は翌年棄却され、結局石川さんは保釈されるまで31年7ヶ月を刑務所で送ることになった。そして今なお無実を叫び再審を求めて闘っている。狭山裁判はほぼ半世紀に及ぶ、只今進行中の長期裁判である。

山下菊二の作品は、16世紀ドイツの木版画や、広島長崎の原爆投下、ベトナム戦争やアフリカの民族紛争などの写真も使い、そこに狭山事件の石川さんの写真や供述、犯罪に使われた脅迫状などをコラージュ手法で配し、狭山裁判の本質をあぶり出している。狭山裁判については次回詳しく書くつもりだが、足利事件の菅家さんと同じ、強要された自白が証拠とされ、指紋など確かな物的証拠はなく、多くの人が冤罪事件と見ている。そもそも犯人探しが、狭山の被差別部落に絞って行われ、狭山事件は冤罪であるとともに差別事件としても知られている。狭山差別裁判といわれる所以だ。そいう社会の不条理をまっすぐ見詰める山下菊二のまなざしが、ぐっと胸に迫ってくる。どうぞ足をお運び下さい。3月27日まで開催されています。


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